親の昔の過払い金を、遺産として返還請求できる?
8年前に父が亡くなった時、あちこちの消費者金融から長年にわたって借金をしていたことがわかりました。その時は、驚いて保険金などで返済しましたが、今頃になって、過払い金が発生していたのでは?と気付きました。私達遺族が、父の昔の過払い金の返還を請求することはできますか?
アドバイス
被相続人の過払い金請求について
お父様が過払い状態であったのなら、残された消費者金融からの借金は、相続債務ではなく相続財産だったわけです。ご遺族には当然、過払い金の返還を請求する権利(過払い金返還債権)があります。
被相続人が多額の借金を残して亡くなられた場合など、「相続放棄」の手続きができるということは、借金の相続と相続放棄についてでお話ししましたが、一旦相続放棄をしてしまうと、後になって過払い金を請求しようとしても、請求する権利は消滅しています。
ご相談者は相続放棄していらっしゃらないので、問題ありません。過払い金の返還請求権には消滅時効がありますが、最高裁で10年の判決が出ていますので、これも大丈夫です。
遺産分割協議で相続人を決めます
相続人全員で協議をして、過払い金を相続する人を決めます。全員で相続してもいいですし、たとえば長男と次男、あるいは母だけ、など特定の人でもかまいませんが、特定の人が相続する場合は、その旨を明記した「遺産分割協議書」を作成する必要があります。

過払い金の算定をします
領収書や振り込みの記載がある通帳など、証拠が残っていればいいのですが、無い場合は、相続人が業者に、取引履歴の開示を請求して調べます。
業者が特定できない時や、まだ他にも過払い金が残っていそうな場合は、CICやJICCなどの信用情報機関に問い合わせる方法もあります。
明細がわかると、今までに支払った利息を、利息制限法の利率で計算しなおして「過払い金」を算定します。
これら一連の作業は手間がかかる上、業者によって算定法が違うなど非常に複雑で専門知識を要しますので、弁護士や司法書士などの専門家に相談されることをおすすめします。
業者が取引履歴の開示請求に素直に応じない場合も多々あるのですが、専門家に委任すると、制度上強く要請でき、回収も依頼できます。
※過払い金の解説や事例はコチラ

過払い金請求に必要な書類
相続人が過払い金を請求するには、多くの書類を提出する必要があります。

ご注意ください
◎相続放棄した相続人は、過払い金返還債権を有しません。従って、遺産分割協議に関与する必要もありません。
◎相続人の一部の人だけが過払い金返還を希望し、他の共同相続人が請求に乗り気でない場合は、その人の相続分だけを請求することになります。たとえば、母と子2人が相続人で、過払い金が100万円の場合、子の1人だけが返還を請求すると、その金額は、100万円×1/2×1/2=25万円になります。
◎「過払い金返還請求権」の消滅時効10年(最高裁昭和55年判決)の進行は、取引終了時からということで決着しています(最高裁平成21年判決)。10年近く前の借金については、時効中断の手続を取った方が良い場合もあります。
◎過払い金の請求は、算定から回収まで、困難なことが多く、裁判になることもあります。まずは「過払い金が発生している可能性があるか」弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。










