成年後見人である父が亡くなった時の相続は?
20代のOさんは脳に重い障害があり、お父さんが法定後見人になっていました。お父さんが急に亡くなり、お兄さんと2人で相続をすることになりましたが、後見人選定や相続の手続きはどう進めればいいでしょうか?Oさんの後見人はお兄さんが引き受けることになりました。
アドバイス
成年後見制度と遺産相続について
「成年後見制度」については、認知症になったらどうすればいい?でご紹介しましたが、重度の精神や知的障害がある、重病で昏睡状態にある、等の理由で、既に日常生活に必要な判断や財産管理等ができない方は、法定後見制度を利用し、家庭裁判所に選任された法定後見人の支援を受けます。
相続手続きなどの法律行為も自分ではできませんから、法定後見人が代理で行います。
法定後見人を選任します
Oさんには、まず、お父さんに代わる法定後見人を選ぶ必要があります。
法定後見人には、親族でも第三者でもなることができます。Oさんの場合はお兄さんが、家庭裁判所に「成年後見申立て」の手続きをします。
この手続きは約3か月かかりますので、相続放棄等をお考えの場合は注意が必要です。

特別代理人を選任します
成年後見人は、被後見人の代理人として遺産分割協議に参加しますが、Oさんの場合は、お父さんの遺産相続について利益が相反する関係にあるお兄さんが後見人になるので、(相続人が未成年者である場合と同様に)家庭裁判所に特別代理人の選任の申立ても必要です。この申立から決定までに、約1ヵ月必要です。
結局、計約4ヵ月の間、相続手続ができないことになりますのでご注意ください。
さらにこの相続の場合は、利益相反に関する書面として、遺産分割案も提出する必要があります。
家庭裁判所が、後見人(お兄さん)に、成年後見監督人を選任した場合は、その人がOさんの代理人になって、お兄さんと遺産分割協議をするので、特別代理人を選任する必要はありません。

相続の手続き
全ての準備が整って遺産の分割方法が決まると、遺産分割協議書を作り、お兄さんとOさんの特別代理人(またはお兄さんの成年後見監督人)が署名し実印を押します。
◎不動産を相続した場合
Oさんが不動産を相続して相続登記をする場合は、相続登記の必要書類以外に、成年後見登記事項証明書や特別代理人選任審判書が必要になります。
また、今後お兄さん(成年後見人)がOさんの代理で不動産の売買や賃貸契約を行う場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
将来、ご自身やご家族に判断能力がなくなり、後見人が必要になると考えられる場合は、任意後見制度の利用や遺言書の内容、遺言執行者の選定など、老後のことをトータルに考えて、弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。詳しくは一人暮らしの老後が心配ですやこちらをご覧ください。










